身体、心、脳のバランスを整えよう!
ワシントンDCでは、蝉の鳴き声も聞こえ、すっかり夏らしくなってきました。今年、私たちが住む地域では、17年に一度地上にやってくる「17年ゼミ」の大量発生を見届け、普段とは少し異なる季節の変化を楽しんでいます。この蝉は「Brood X(ブルードX)」と呼ばれ、5月中旬くらいから出没していました。地面を見れば蝉、空を見上げれば蝉。何千、何万匹もの蝉とともに夏を迎えたのでした。
そんな季節の変わり目には、人の身体はどうしてもバランスを崩しがち。私が特にバランスを意識し始める時期でもあります。何事も程よいバランスを取って生活することは、これから数ヶ月に渡る暑い時期を快適に過ごすことにも繋がります。また、私たちの仕事においても、脳のバランスを意識して一つ一つに取り組むことは、脳を活性化し、より良いアウトプットに結びつくかもしれません。自分を大切にする時間、特に休息をきちんと取ることは、自分軸を整えることに繋がり、その結果「なりたい自分」や「やりたいこと」などがさらに明確になるかもしれません。
身体、心、脳のバランスを取るために私たちが出来ることについて、私自身の日常生活、尊敬する人々から学んだ生活の知恵を振り返り、綴っていきます。
食を整えること
自分の消化に合ったものを選択し、できれば新鮮な食材を自分で調理していただくことは、健康な身体を保つために一番大切なことでしょう。「自分の消化に合ったもの」とは、食べた後にあなたがどう感じるのか?食べた翌朝身体がどう感じるのか?意識してみることから始まるのかもしれません。私の場合、牛肉を食べると胃が重たく感じたり、身体がなかなか消化できない感じがします。そのため、なるべく消化力が高い時間にいただくようにしています。ちなみに、消化を促すものとして、白湯はとてもお勧めだそうですよ。
季節に沿った食べ物を取り入れ、季節の流れに沿って生活することを、私が学び、実践するインドの伝承医学(アーユルヴェーダ)はとても大切にしています。日本、特に私が育った街では野菜の直売所がいくつかあり、作った方の名前が記載された色とりどりの野菜や加工品が売られていて、とても羨ましく思います。最近では、家の近くに畑を借りて、家庭菜園を始めている友人などもいて、素晴らしいなと感じます。
私の住むワシントンDC界隈では、ファーマーズマーケットが各地域で展開されており、農家・農場の方々に触れ合いながら野菜や卵、チーズやヨーグルトなどの加工品まで購入することができます。中でも、私が昨年からお世話になっているのは「スズキファーム」。1980年代にデラウェア州で設立された日本のオーガニック野菜を育てる農場です。オーナーのKen Suzuki氏は私と同じ愛知県の出身ということで、とても親近感が湧きました!今の季節には、茄子、胡瓜、ピーマン、ししとう、小松菜、トマトなどの夏野菜を直接買い、自宅まで郵送してもらうことができるので、季節に沿った食材を日々の生活に取り入れるのに最適。
さらにアーユルヴェーダの教えでは、「なるべく調理したてのものを食べる方が良い」と言われています。在宅勤務をしていると、忙しくて作る時間がない!という時もよくあります。そんな時のために、15分もあれば簡単に出来るレシピ3つほどをあらかじめ考えておいたり、信頼できる美味しいお店でテイクアウトをしたりすることで、なるべく調子したてのものをいただく工夫をしています。
「自分の身体の様子を見ながら、その時に手軽にできる選択をして、食を整えていく。」そうすることで、長く緩く身体と付き合っていけるのかと思います。
脳を活性化させる:いつもと違うことをしてみる
脳をバランスよく活性化させることもまた、生活のバランスを整えることであると思います。脳機能のピークは20代であるそう。とはいえ、歳を重ねていくと共に、様々な新しいことにチャレンジしていた祖父母や尊敬する知人たちは、「私たちは何歳になっても脳を健康に保つ努力はできる」ことを見せてくれました。
いつもと違うことをしてみることは、脳の司令塔であり、記憶や学習を司る前頭前野をさらに刺激してくれるそうです。私は脳機能の専門家ではありませんが、脳の色んな部分を使ってみることを最近意識しています。例えば職場では、最近アウトプット(書く、話す)ばかりしていると思ったら、できる限りインプット(聞く、学ぶ)の時間を取り入れてみたり。会議が続く日々の合間に、一人でルーティンワークをひたすら進めていく時間を設けて作業をしてみたり、といった感じです。
日常生活では、いつもと違う道を歩いて散策してみたり。私は、つい同じレストランやカフェに立ち寄る傾向があるのですが、時々新しいところを見つけて行ってみたり。新しいレストランやお店にトライするのが大好きな夫と時間を過ごすことで、バランスを取っているのかもしれません。
心を休ませ、身体を整える
心を休ませることは、脳を上手に使うことにも繋がっていると言えるでしょう。忙しい毎日を送る中で、自分の心の声に耳を傾け、心身をケアすることはとても大事。自分にとって気持ちがよく、無理なくコツコツ続けていけそうなことを選んでみることをお勧めします。
私は、ヨガが身体にとても合っているので、環境がゆるす限りずっと続けています。ワシントン近郊には色んなスタイルのヨガスタジオがあります。私が住む地域では、地域密着型で色んな世代の人がクラスに通っていたお気に入りのヨガスタジオがコロナの影響で閉じてしまい、とても残念に思っていました。しかし、ちょうどそんな時に日本でお世話になっていたサントーシマ先生が、オンラインヨガを始めました。アメリカにいながら、自分の身体に合うヨガクラスを提供してくださる先生や仲間達と時差を超えて繋がる時間は、かけがえのないものとなっています。
そして、春頃から始めて続けているのが、鍼治療。日本には、コンビニの数を上回るほどの鍼灸院があるそうですが、アメリカにおいても、鍼灸治療は医療保険が適応になるほど、市民にとって身近な存在であるようです。1日の終わりに施術をしてもらうと、目や首、肩の重みがすっきりとして、心が落ち着く感じがします。心と身体のバランスが整う鍼治療、お勧めです。
おわりに
季節の変わり目のこの時期に、「バランス」というテーマで記事を書いてみました。インドの伝承医学であるアーユルヴェーダや中医学でも、自然界と自分の中でバランスをとりながら調和的に生きていくことを推奨しています。人の身体はそれぞれ違いがあるため、その違いに合わせた上でバランスを取っていくという考え方が私はとても気に入っています。
理論的な枠組みや教えはたくさんあるものの、あまり深く考えずに、まずは自分を知ること。そして自分に合うもの、心地よいと感じるものを大切に、時々その枠から外れて、新しいもの・ことに触れながら、生きていくことが、私にとってちょうど良いバランスに繋がりそうです。
おすすめの書籍(中医学、アーユルヴェーダ)
- “Balance Your Hormones, Balance Your Life” by Dr. Claudia Welch
- わたしが輝くオージャスの秘密 by 服部みれい
- 疲れないからだをつくる 夜のヨガ by サントーシマ香
- 薬膳で楽しむ毒出しごはん by 青山有紀
- オトナ女子の薬膳的セルフケア大全 by 水田小緒里