海外のバカンス事情
「海外就職したら、長い休みが取れるのでしょうか?」と尋ねられたことがあります^^
海外、特にヨーロッパでは長くまとまった休みをとることが一般的とよく言われていますね(リンク)。昔、南フランスで、現地の知人に尋ねたところ、「1ヶ月休むのは普通よ!みんなそうなのよ。」と聞いた時には本当にびっくりしました。
業種にもよると思いますが、休みの間は誰かに業務をお願いして、という訳でもなく、夏の間は仕事がほぼ止まると聞くこともあります。日本で働いていた時には、有給休暇は長くても1週間程度取れていた私からすると、本当に羨ましい思いでした。
アメリカの休暇事情はどうでしょうか。ワシントンDCで約5年働いてみて感じることは、ヨーロッパほどの長い休みを取らないことです。
こちらで公務員として働く夫を見ていると、アメリカは祝日の時期(感謝祭やクリスマス)に休みを重ねることで、1週間、または2週間くらいの休みを1年のうちに何度か分けて取る人が多いようです。
有給休暇は会社にもよりますが、多くて20日前後ではないでしょうか。
私の職場では、世界の様々な国や地域から中・長期的にやってきて国際公務員として働いている人々が多いため、夏や冬の時期には3週間から1ヶ月程度休みを取る人も珍しくないようです。
アメリカで正社員として就職した以上、休暇は権利として与えられるもの。私の場合、契約社員のコンサルタントとして働いていた時にも有給休暇がありました。
しかし過去に日本で就業経験した私は、「どういうタイミングで休暇を取ったらいいのだろう?」「何日くらいまとめて取って良いのだろう?」などと考えてしまい、就職した当時はなかなか思い切って休暇を取ることができませんでした。
契約のコンサルタントとして働いていた時には、長期休暇後に、居場所(仕事)がなくなったらどうしよう・・・などと悩むことも。
まさに、有給休暇があっても消化できない人・・・。
そんな私がこの5年間で学んだことは、休みを取るにはコツや事前準備も必要ということ。そんな私自身の苦い経験を振り返りながら、休暇取得のコツとメリットについて紹介します。
長期休暇は、まず自分で予定を決めて取得宣言しよう!
アメリカで働き始めた1年目。当時の職場では、新しい仕事を覚えることや、周りの人との関係を築くことに必死で、1-2日以上の休暇を取ることができずにいました。
以前自己紹介で書きましたが、職場の9割が中南米出身の人々で占めており、職場環境やコミュニケーション文化も日本とは随分異なるものでした。
例えば、上司と一緒に行く海外出張も、出発する数日前に突然決まるようなことも。プロジェクトリーダーに案件の進捗状況を尋ねても、誰もはっきりと進捗を教えてくれず、何のまえぶれもなく物事が動き出すこともあります。計画をして物事を進めるということがとても大変な職場環境でもありました。
しかし私は日本で育った日本人。「担当するプロジェクトの風向きが変わり、休暇中に出張の予定が入ったらどうしよう?」「担当業務が突然舞い込んできたらどうしよう?」などと不安な想いがどっと押し寄せ、アメリカで働いているのに1週間の夏休みも取得できない状況でした。
入社して1年ほどたったある時、2つの部署が合体し、私は、めずらしく非中南米出身者と同じチームになりました。彼女は当時の職場ではかなりのベテランで、とてもテキパキとした様子のフランス人でした(ちなみに旦那さんは南米出身者です!)。
ちょうど初夏にかかる時期に、私は彼女にこう相談したのでした。
すると、このような返事が返ってきました。
もう休みの目処が立っているのだったら、先に申請したらどう?
プロジェクトの先方の予定など、今の段階では誰にもわからないし、チームリーダーや上司にあなたの休暇について相談していたら、夏が終わってしまうわよ!
私も働き始めた頃には、どういうタイミングで休暇を取ったら良いか悩んだけれど、最終的には自分で休暇の日程を先に決めてしまう他はないとわかったの。
彼女の的確な返事を聞いた時は、目から鱗が落ちました。
自分の休暇について、先に自分で決めておけば、あとは予定を相手に伝えれば良いのです。
確かに、「8月X―Xの日程で休んでもいいでしょうか?」などと聞かれても、そもそもプロジェクトの進捗状況さえよく掴めていない状況では、プロジェクトリーダーも何も言えないはず。(繁忙期が決まっているようは状況では、話は別です。)
実際にその時、私の上司に休暇予定を伝えたところ、すぐにOKが出ました。「プロジェクトが休暇中に進んだら、それは仕方ない。別のメンバーがその間担当するから問題ないよ。」というようなやりとりがあったかと思います。
自分の中・長期休暇の予定は、繁忙期でない限り、まずは自分で決めること。そして、休暇期間中、業務を担当できないことを事前にはっきりと上司や同僚に伝えることが大切です。
部署にそもそも人材が足りていない場合は別として、あなたの休みの予定について周りがあらかじめ分かっていれば、休暇中にアレンジがきくでしょう。
日頃から人材育成に励むことも大切!
今の会社に転職してから、再び休みが取りづらい状況に見舞われたことがありました。その理由は、人材不足により、私の担当業務を担当できる人が同じ部署にいないことでした。
このままでは、上司に申請しても、却下されること間違いなしの状態でした。それでも冬に長期休暇を取得したかった私は、このような問いを立てて考えてみました。
長期休暇の間、担当業務を誰にお願いできるだろうか?
休暇を予定時期の数ヶ月前に、隣の部署で働く同僚に声をかけはじめたところ、幸い業務について学ぶこと、手伝うことに関心のある人を見つけました。
先輩であれば、その業務は重荷になってしまうだろうと予想していましたが、ある業務を学びたい人も大きな会社や組織の中にはいるはず。
休暇中のサポートを了承してくれた彼女が、「この業務を手伝うことを通じて、今までの業務とは異なる、新しいことを学びたい!」と言ってくれた時に、私の中で大きな気づきがありました。(彼女の上司から承認を取るという難しそうなプロセスもありましたが、クリアできました。)
その後引き継ぎ書を準備し、業務内容について教えていく過程はあったものの、学びたい意欲のある同僚は覚えるスピードも早く、安心して任せられるという想いが私の中にありました。
この事前準備が整った時点で、上司に長期休暇の申請をしたところ、無事許可をもらうことができました。休暇中は、同僚のサポートをできる限り行ったものの、休暇前にコミュニケーションをとって二人で準備をしておくことで、スムーズに作業を進めることができました。
この件を通じて学んだことは、バカンスの取得を実現するために、人材育成が必要なこともあること。あなた以外に担当業務を行える人がいない場合、人を育成することで→自分に代わり業務をお願いできる→休暇を取得しやすくなると言えそうです。
おわりに
海外では長期休暇が取得しやすいのでしょうか?アメリカにおいては、比較的取得しやすいと私の経験から言えますが、職場の体制、環境や部署のリソースにもよりそうです。
私の場合は、異文化な職場によるコミュニケーション方法と人材不足が課題であったように、今振り返ると思います。それでも、自分の休暇を守るため、様々な工夫をして今に至っています。
コロナ禍で様々な移動の制限はありますが、休暇を取ることは、心身のリフレッシュにとても大事なこと。このことについて、心の余裕を持つことに関連して、以前ブログでも紹介しました。
プライベートと仕事の境界線が曖昧となりやすいテレワークや長時間のオンライン会議によって、気づかぬうちに疲労が蓄積している人も少なくないはず。
今年の夏、私の職場(部署)で、管理職に当たる人々は、お互いの業務をカバーし合いながら、ほぼ全員1ヶ月の休暇を取っているようです。
日本・海外問わず、日々頑張っていらっしゃるみなさまにとって、中・長期の休暇が少しでも取りやすくなるきっかけとなればと思い、本記事を書きました。
長期の休みを取りたいのですが、今の段階ではこの案件の進み具合が読めなくて困っています。
新しい案件が上手く進むようにチームの一員として全力で貢献したいのですが、夏休み前後に案件が進んで大事な時にサポートできなかったらと考えると、なかなか踏み切れません。
今の状況を踏まえて、休暇の取得時期などについてアドバイスもらえませんか?